in陰扉door_novel_3




「神宮寺!!」
振り向くと、伸夫さんが私の後ろに立っていました。
彼は寒い中、防寒具を何も身につけていませんでした。
塾を早く出た私を急いで追いかけてきたのでしょう。
彼は、はあ、はあと白い息を吐いていました。
「どうしたのですか?とても寒そう・・・そのままだと風邪をひいてしまいます。塾まで戻りましょうか?」
「いや、いい・・・あいつらが来ないうちに・・・」
そう言ってから伸夫さんは大きくくしゃみを一つしました。
あいつらというのは、誰でしょうか。
彼は何か大きな組織にでも追いかけられているのでしょうか、なんて。
「これ」
伸夫さんはズイッと私に紙袋をまるで押し付けるように渡しました。
中身は無地の封筒と、そして。
「これ!」
あの方が載っている漫画雑誌でした。
「あんたにやるよ」
「!いいんですか?」
「ああ、俺、二冊持ってるし」
「な、何かお礼を・・・」
「その代わり、成績、落とさないでくれ。漫画が読みたいなら・・・何冊だって・・・貸してやるから。・・・張り合いがない」
「張り合い?」
私は思い出しました。
いつも一桁の差で、私の次に成績が良かった名前。
この前の試験では、私は普段より二十点ほど下がり、二番に落ちてしまったのです。
「いつか、また勝ったら・・・その時は」
がやがやと後ろが騒がしくなってきました。
塾に通う生徒たちが出てきたようです。
彼らから逃げるように、挨拶もままならないまま、伸夫さんは行ってしまわれました。
もしかしたら「あいつら」というのは、塾のお友達のことだったのかもしれません。

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